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Lee-Byung-hun addicted

Lee-Byung-hun addicted

最終話

『Recollection』 最終話



「あれ、もう一箇所も残ってないの・・」

ビョンホンはシーツにもぐって揺の身体を眺め回していた。

そして揺の以前より小麦色に焼けた肌に触れながら

彼はこの三ヶ月の出来事を

彼女の口から聞きたいような聞くのが怖いような感覚に襲われていた。

「やだ、くすぐったいよ。

残ってるわけないじゃないもう4ヶ月も経ってるのよ。」

揺はクスクスと笑いながら言った。

「え~。一箇所くらい残ってると思ったんだけどな。それに・・・」

「それに?」

「ちゃんと体中に書いてきてって約束したのに書いてないよ。何にも」

どうしても気になりだした彼は

少し勇気を出してそう不満げに言ってみた。

「それは・・・・いろいろ忙しかったから。

だって私マラリアにかかったのよ。」

「え、本当に?でどうだったの?大丈夫?」

「倒れたのが病院だったから問題なくね。すぐ熱も下がったし・・・」

話を聞きながら

段々ビョンホンは自分の顔が不機嫌になっていくのを感じていた。

嫉妬の炎が身体の中をメラメラと駆け巡っていくのがわかる。

「どうしたの?ビョンホンssi」

「揺・・・・誰がお前の治療したの?」

怪訝そうなビョンホン。

「それは・・・・・晋さんだけど。何で?」

「揺・・・アイツはお前の身体・・・・見たの?」

「私気を失ってたからわからないけど診察はしたんじゃない。

医者なんだし。何で?」

「何で?じゃないよ!」

そういうとビョンホンは我を忘れ

揺の両腕を押さえ込み揺の上にまたがった。

「どうしたの?急に」

いつもと違う様子に戸惑う揺。

「お前のこのちっちゃい胸は僕だけのものだから・・・

もう誰にも見せないで・・・・」

そういうと彼は彼女の胸に優しく何度も口づけをした。

「特にアイツにはもう二度と見せないと誓って」

彼は口づけを続けながらそうささやいた。

「ビョンホンssi・・・・」

「アイツにはアイツにだけは君を取られるかもしれない・・そう思ったんだ。

君を死ぬほど愛してるから・・・僕の手を離さないで」

ビョンホンはそういうと

揺とつないでいる両手の指と指とを絡めしっかりと握りなおした。

(僕も絶対に離さないから・・・)

揺は彼が自分の胸にキスをするたびに彼の愛を感じていた。

いつもよりも熱く感じるのは彼の嫉妬のせいだろうか・・・。

彼の鼓動が彼の唇を伝わって揺の身体の芯まで届いてくるようだった。

(彼に・・・・ちゃんと話さなければ。)

彼の愛を全身に感じながら揺は心に決めた。

「ビョンホンssi・・ごめんね。

私・・・自分の気持ちを見失ったの。

ソヌに感謝して・・私をここに帰してくれたのはソヌだから。」

愛されながら揺はそう言った。

「どういうこと?」

場違いな彼女の言葉にビョンホンは聞き返した。

「もし・・・あなたがソヌを演じていなかったら

私はここにいなかったかもしれない」

「・・・・」

「隠すのは嫌だから・・。私、アフリカから帰ってきたとき、気持ちがね。

宙ぶらりんだったんだと思う。

あなたしかいないと思って帰ってきたはずなのに・・

たぶんあなたに引き戻してもらうことを心のどこかで期待してた気がする。

もし、はっきりした気持ちだったら、

スエさんがいても貴方に向き合えたと思うの。

貴方と彼女の姿を見たとき・・・私。思ったの。

俳優の貴方と結婚するってこういうことなんだって。

貴方を心から愛している気持ちにうそはないけれど

すべてを受け止める自信があの時はなかった。

私、晋さんとアフリカで再会して・・・

正直違う幸せもあるのかもしれないって思った。

いつも一緒にいて彼は私だけを見ていてくれる・・・

そんな幸せもあるんだと。

迷わなかったといえばうそになる。

でも、自分のこれまでの貴方への気持ちを信じたくて。

自分でもどうしていいのかわからなかった。

貴方にあのままの気持ちではとても会えないと思って

彰介に頼んで日本から離れたの。

迎えに来てくれたのは・・晋さんだった。

彼の顔を見たときは・・・これが運命なのかと思った。

もう、貴方の元には戻れないのかもしれないって。

でもね。晋さんが言ったの。

「あんないい眼をした俳優はいない」って。

フランスでたまたま「甘い人生」を観たんですって。

あの時、晋さんがもし・・・」

「もう。わかったから。もう何もいわなくていいよ。

君が今ここにこうして僕といるということが君が出した答えなんだろ?」

ビョンホンは優しいキスで彼女の言葉を遮ると揺の髪をなでながら

優しくそう言った。

「ビョンホンssi・・・」

揺の目には涙がいっぱいに浮かんでいた。

「君は僕だけのものだから・・・・もう誰にも渡さない」

ビョンホンはそういうと熱く長いキスをした。

すべてを話してくれた彼女がどうしようもなく愛おしかった。

そして二人は深く深く愛し合う。

「もう、迷わない。手を離さない。もう誰にも渡さないで・・」

揺は彼に愛されながらずっと心の中でそう叫び続けた。

二人は今までの時間を埋めるかのように愛し合った。



「今日は120日分愛さなくちゃいけないから眠らせないよ」

「出かける前に100日分愛し合ったからあと20日分じゃないの?」

揺は彼のキスの雨を受け止めながら答えた。

「じゃ、20日分にしておく?」

ビョンホンが意地悪そうに言った。

「いや、120日分がいい。」

揺はそういうとビョンホンにしがみついた。

「じゃ、今日はエンドレスだ。」

ビョンホンは彼女の胸に顔をうずめた。

「明日、仕事じゃないの?」

ちょっと心配そうな揺。

「一晩くらい徹夜したってどってことないさ」

ビョンホンはそういうと揺にウインクした。

「あ~でももうユン教授には戻れないかもしれない。

役柄から抜け出すのに今まで結構苦労していたんだけど・・・」

ビョンホンは愛しながら続ける・・・・

「揺を一晩抱いたら僕の本来の姿にすぐ戻れるってことが今日わかったよ。

君を愛している僕は紛れもない僕自身だ。」

「それじゃ、やっぱり撮影中は愛し合えないってこと・・・よね。」

「そういうことになるか・・・」

ビョンホンはちょっと考え込んで答えた。

揺の脳裏に何故かふと彼がスエと抱き合っていた光景が浮かんだ。

そして揺は急に彼に意地悪をしたくなった。

「・・・晋さんがね。あなたが長期に撮影に行くときは

遊んでやるから連絡しろって。

それからあなたに胸がデカイ可愛い子紹介しろって伝えておけって。

それから・・・私、バツイチなの。」

「揺、僕を怒らせると怖いってしらないの?」

ビョンホンは彼女をにらんでそういった。

「知らない」

笑いながら答える揺。

「もう、許さない・・・絶対。」

揺をにらんだままビョンホンはそういうと

揺の身体を思い切り抱きしめた。

揺は彼に抱かれながら

自分の嫉妬の炎が彼の嫉妬の炎でかき消されていくのを感じていた。



一体どれくらい愛し合っていのだろう。

いつの間にか二人とも眠りについていた。

ビョンホンにしても揺にしても日々のハードスケジュールで

疲れていないほうがおかしかった。

ふと揺は目を覚ました。

横にはぐっすりと眠るビョンホンがいた。

揺は幸せだった。

この幸せのために三ヶ月寂しくても仕方がないと思えるほど幸せだった。

彼がくれる幸せは短い期間に凝縮されてやってくる。

一年の半分しか一緒にいられなくても

その半分で普通の生活の数倍の幸せを感じられる気がしていた。

「会ってる時はいつもそう思うのよね。」

揺は彼の寝顔を眺めてつぶやいた。

「ククク・・・」

ビョンホンが目をつぶったまま笑っていた。

「いやだ。起きてたの?」

「ああ。幸せそうな顔で僕の顔を眺める揺をゆっくり観察してた。」

そういうと彼は幸せそうに微笑み揺を抱きしめた。

「さあ、まだ時間がある。夕べの続きだ。

その続きは今夜帰ってきてからだから。」

「やだ。一日の半分もベッドにいなきゃ」と揺。

「許さないって言ったろ?でも映画の撮影が終わったら

僕は全部揺のものだから揺の好きにしていいけど。どうする?」

ビョンホンは上目遣いに揺を見つめた。

「じゃあね。・・・・・どうしよう。

やりたいことが多すぎて悩んじゃうわ。

とりあえず今は・・・抱きしめてキスして・・・・・頂戴。」

揺はちょっと恥ずかしそうにそういった。

「頂戴って・・・・・何が欲しいの?」

ビョンホンはそういうとゲラゲラと笑った。

「じゃあ、もういらない」

ふてくされた揺はビョンホンに背を向けた。

「あ~~もう何でもあげるから。ほら、ほら」

そういうとビョンホンは後ろから揺を抱きしめた。



その日、ビョンホンが仕事へ出かけるまでの数時間

二人はただゆっくりとした時間を過ごしていた。

久々に共に過ごすこんな何でもない日常が

ふたりにとってはこの上なく幸せだった。

「ワンッ!」

タリが尻尾を振ってご機嫌な様子で吠えた。

「タリ~。この間はご苦労様~」

揺はそういうとタリに頬ずりしてキスをした。

「この間って何?」

ビョンホンが不思議そうに訊ねた。

「ん?この間ガーデンパーティーのとき、

この子スエさんに吠え掛かってたでしょ。」

「観てたの?」

驚くビョンホン。

「この子お利口よ~。

私が出発前にビョンホンssiに言い寄る女がいたら「ガブッ」って

噛み付いていいって言ったら

本当にちゃんと言うこと聞いてくれたもの。

誰かさんよりよっぽど信用できるかも」

揺はそういうと白い目でビョンホンを眺めた。

「怖え~~~っ!だけどそれにはいろいろと・・・・」

「ああ。わかってるわよ。頭では。

でも身体とここが許せないっていうから・・・」

「じゃ、こうして・・・こうして・・・こんなことしたら・・・

許してくれる?」

「・・・・・・・・考えて・・・みよう・・かな・・・」

「夜はこの続きから・・・・だからね。」

ビョンホンは揺の耳元でそう甘くささやいた。

「ク~~~ン」

タリは伏せをしてゆっくりと目を閉じた。







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